シルバニア クリスマスキャロル 三夜目 [お話]
とうとう三日目の夜になりました。
家族が寝静まった夜中にやっぱりクリスマスのこびとはやってきました。
キツネの男の子「君が未来のクリスマスのこびとなの?」
クリスマスのこびと「はい。私が未来のクリスマスのこびとです。あなたの未来を見せるためにやってきました。」
キツネの男の子「僕の未来はどうなっているの?僕は死んじゃっているの?」
クリスマスのこびと「それはこれから見せましょう。あなたにとっては厳しい未来ですが覚悟してみてください。」
そうこびとが言うと周りが一転昼間になりました。
でも家の中には誰もいません。
キツネの男の子「どうしてだれもいないの?」
家中を探しましたが誰もいません。
キツネの男の子「もしかして僕を置いてみんないなくなってしまったの?僕のことが嫌いだから?」
気がつくとキツネの男の子とこびとはカッパの池のほとりにいました。
小さな池にはボートが浮かべられ、船長さんとキツネのお父さんが乗っています。
すぐそばにはキツネのお母さんもいます。
キツネの男の子「お母さん、お父さん、僕はここだよ!」
キツネの男の子が叫んでも二人は見向きもしません。
クリスマスのこびと「みんなには君が見えないんだよ。」
キツネの男の子「どうして二人がここにいるの?カッパが死んじゃったの?」
するとお父さんが池の中から小さな身体を救い出しました。
キツネの男の子「赤ちゃん!」
何ということでしょう、赤ちゃんは池でおぼれてすでに冷たくなっていました。
キツネのお母さん「あぁ、私の赤ちゃん!」
キツネの男の子はお父さんとお母さんが泣くところを初めて見ました。
キツネの男の子「どうして、どうして赤ちゃんが池でおぼれてしまったの?どうしてこんなことに!」
クリスマスのこびと「それは君のせいですよ。」
キツネの男の子「えぇ?」
クリスマスのこびと「赤ちゃんは君が石をぶつけたカッパが心配で一人で池に様子を見に行ったんです。ところが足を滑らせて池に落ちてしまった。カッパがいる池ではおぼれた子供がいればカッパが助けるけど、君のせいでカッパはもういない。赤ちゃんはそれでおぼれてしまったんです。」
キツネの男の子「僕、本当にそんなつもりじゃなかったんだ。そんなの嫌だよ。赤ちゃんが死んでしまうなんてそんなのひどいよ。」
クリスマスのこびと「でも君は兄弟なんて要らないんだろう?だったらちょうどいいじゃないか。」
キツネの男の子「僕はお父さんとお母さんを泣かせてまでそんなとこを願ったわけじゃないよ。」
クリスマスのこびと「君の両親は赤ちゃんの死の原因である君を一切責めることはなかったよ。でもこのあと悲しみのあまり君のお母さんは病気になってしまい、兄弟はバラバラに親戚の家にいくことになる。君は念願の一人っ子になれるんだ。」
キツネの男の子はわっと泣き出しました。
キツネの男の子「僕が全部悪かったんだ。僕が自分のことばかりで、人のことなんて考えなかった。自分さえよければいいと思っていた。今まで僕が十分幸せだってわからなかった。だから、だから、僕が自分のせいで死んでしまうのはしかたない、でも赤ちゃんだけは死なせないで。」
クリスマスのこびと「本当に君はそう思うかい?自分が悪かったと認めて、生まれ変わることが出来るかい?」
キツネの男の子「赤ちゃんが生き返るんだったら僕はどんなこともするよ。お願いだから僕の家族をばらばらにしないで!」
するとキツネの男の子の意識はすぅと遠のいていったのでした。
つづく
家族が寝静まった夜中にやっぱりクリスマスのこびとはやってきました。
キツネの男の子「君が未来のクリスマスのこびとなの?」
クリスマスのこびと「はい。私が未来のクリスマスのこびとです。あなたの未来を見せるためにやってきました。」
キツネの男の子「僕の未来はどうなっているの?僕は死んじゃっているの?」
クリスマスのこびと「それはこれから見せましょう。あなたにとっては厳しい未来ですが覚悟してみてください。」
そうこびとが言うと周りが一転昼間になりました。
でも家の中には誰もいません。
キツネの男の子「どうしてだれもいないの?」
家中を探しましたが誰もいません。
キツネの男の子「もしかして僕を置いてみんないなくなってしまったの?僕のことが嫌いだから?」
気がつくとキツネの男の子とこびとはカッパの池のほとりにいました。
小さな池にはボートが浮かべられ、船長さんとキツネのお父さんが乗っています。
すぐそばにはキツネのお母さんもいます。
キツネの男の子「お母さん、お父さん、僕はここだよ!」
キツネの男の子が叫んでも二人は見向きもしません。
クリスマスのこびと「みんなには君が見えないんだよ。」
キツネの男の子「どうして二人がここにいるの?カッパが死んじゃったの?」
するとお父さんが池の中から小さな身体を救い出しました。
キツネの男の子「赤ちゃん!」
何ということでしょう、赤ちゃんは池でおぼれてすでに冷たくなっていました。
キツネのお母さん「あぁ、私の赤ちゃん!」
キツネの男の子はお父さんとお母さんが泣くところを初めて見ました。
キツネの男の子「どうして、どうして赤ちゃんが池でおぼれてしまったの?どうしてこんなことに!」
クリスマスのこびと「それは君のせいですよ。」
キツネの男の子「えぇ?」
クリスマスのこびと「赤ちゃんは君が石をぶつけたカッパが心配で一人で池に様子を見に行ったんです。ところが足を滑らせて池に落ちてしまった。カッパがいる池ではおぼれた子供がいればカッパが助けるけど、君のせいでカッパはもういない。赤ちゃんはそれでおぼれてしまったんです。」
キツネの男の子「僕、本当にそんなつもりじゃなかったんだ。そんなの嫌だよ。赤ちゃんが死んでしまうなんてそんなのひどいよ。」
クリスマスのこびと「でも君は兄弟なんて要らないんだろう?だったらちょうどいいじゃないか。」
キツネの男の子「僕はお父さんとお母さんを泣かせてまでそんなとこを願ったわけじゃないよ。」
クリスマスのこびと「君の両親は赤ちゃんの死の原因である君を一切責めることはなかったよ。でもこのあと悲しみのあまり君のお母さんは病気になってしまい、兄弟はバラバラに親戚の家にいくことになる。君は念願の一人っ子になれるんだ。」
キツネの男の子はわっと泣き出しました。
キツネの男の子「僕が全部悪かったんだ。僕が自分のことばかりで、人のことなんて考えなかった。自分さえよければいいと思っていた。今まで僕が十分幸せだってわからなかった。だから、だから、僕が自分のせいで死んでしまうのはしかたない、でも赤ちゃんだけは死なせないで。」
クリスマスのこびと「本当に君はそう思うかい?自分が悪かったと認めて、生まれ変わることが出来るかい?」
キツネの男の子「赤ちゃんが生き返るんだったら僕はどんなこともするよ。お願いだから僕の家族をばらばらにしないで!」
するとキツネの男の子の意識はすぅと遠のいていったのでした。
つづく
2011-12-24 23:22
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コメント(2)
ま、まさか赤ちゃんが池でおぼれていたなんて・・・
シュ、シュールだわぁ・・
赤ちゃんの表情が見えないところとか、キツネのお父さんとお母さんが泣いている横で船長さんが横を向いている場面など、本当にリアルに想像してしまうわ(;;)
キツネの男の子の願いがかないますように・・。
by じゅりりん (2011-12-25 19:59)
じゅりりんさんへ
どんどん話の展開は暗くなってしまって自分でも困ったよ。
シルバニアの人形の顔は変わらないのにしぐさで気持ちが表現されるみたいで面白いね。
ちゃんと最後はハッピーエンドになってよかったわ~。
by あやけい (2011-12-25 23:40)