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シルバニア クリスマスキャロル 一夜目 [お話]

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キツネファミリーはシルバニア村にある教会の牧師さん一家です。
キツネファミリーは両親と七人の子供の大家族です。


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子供がたくさんいるので毎日が大騒ぎ。
長男であるキツネの男の子はそれが不満です。


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キツネの男の子「なんでうちはこんなに子供が多いんだろう。いつもうるさいし、一人で何もできないし、いいことなんて何もないや。」


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今日もお母さんに赤ちゃんの子守りをするように言われました。
キツネの男の子「え~、赤ちゃんが一緒だとみんなと遊べないよ。」
キツネのお母さん「お兄ちゃんなんだから小さい子の面倒は見なきゃだめよ。」
キツネの男の子「だから兄弟なんていらないんだ!」


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しかたなく赤ちゃんを連れて遊びに行きました。
子供たちは相談してシルバニア村のはずれの池に行くことになりました。


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キツネの赤ちゃん「お兄ちゃん、ぼくお母さんに池に行っちゃダメって言われているよ。」
キツネの男の子「うるさいな、嫌なら一人で家に帰れよ。ついてくるなら黙っていろ。」


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赤ちゃんもみんなと一緒に池にきました。
この池はカッパが住むという噂があります。
マロン犬の男の子「この池、前に見た時よりも大きくなっているよね?」
ショコラウサギの女の子「やっぱりカッパがいる池は大きくなるって話は本当なのね。」


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みんなで話していると突然水の中からカッパが出てきました。
かっちゃん「おら、カッパのかっちゃんだよ!」
みんなびっくりです。


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慌てたキツネの男の子がカッパに石を投げました。
かっちゃん「痛いっ!」


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カッパは水の中に消えてしまいました。
くるみリスの女の子「どうしてあんなひどいことをしたのよ!」
キツネの男の子「カッパなんて怪物だろ、村からいなくなった方がいいじゃないか!」
くるみリスの女の子「カッパは池を守ってくれてるのよ。カッパがいる池は水がきれいで魚もたくさんいるんだから!それなのにあんな乱暴なことをするなんて!」


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キツネの男の子「うるさいっ!」
怒ったキツネの男の子はくるみリスの女の子のブローチを取って草むらに投げてしまいました。
くるみリスの女の子「ひどい!何するの!」


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みんなに責められたキツネの男の子は走って帰ってしまいました。
キツネの赤ちゃん「お兄ちゃん、待って~、あっ!」
転んだ赤ちゃんを見向きもせずキツネの男の子は行ってしまいました。


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ショコラウサギの女の子におぶわれて泣きながら帰ってきた赤ちゃんから事情を聞いたお父さんとお母さんは男の子に話を聞きました。
キツネのお母さん「あなたはどうしてそんなに乱暴なの?それに小さな兄弟を池に連れて行くなんて。」
キツネの男の子「僕が好きで赤ちゃんを連れていったんじゃない。」
キツネのお母さん「だからと言って置いて帰るなんてひどいと思わないの?」
キツネの男の子「僕はもう兄弟の面倒を見るなんて嫌だ。僕は一人っ子が良かったんだ!みんないなくなればいいのに!」
キツネのお母さん「なんてことを…。」
キツネのお父さん「まぁ、お母さん、私がよく話しておくよ。」


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その夜、キツネのお父さんとお母さんは男の子のことについて話しました。
キツネのお母さん「私はあの子が心配ですわ。弱い者いじめをしたり、人の意見を聞かないで言い訳ばかり言って。」
キツネのお父さん「しばらく注意して様子を見よう。きっと大丈夫だよ。」


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夜になり、みんなが寝静まった頃、物音がするのに男の子が気付きました。


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キツネの男の子「誰?誰かいるの?」


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ぼんやりとしたあかりの中、机の方を見ると見慣れない生き物がいます。
キツネの男の子「き、君は誰?」
クリスマスのこびと「私はクリスマスのこびとです。」


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クリスマスのこびと「私は第一のクリスマスのこびとです。あなたは日頃から悪いことばかりする子供です。だから私たちがあなたを懲らしめるためにきました。」


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キツネの男の子「何のこと?どうせ誰かのイタズラだろう?それともお母さんの仕業か?」
クリスマスのこびと「私は過去のクリスマスのこびと、あなたを過去に連れて行きましょう。」


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男の子が気付くとそこは昼間の家の中でした。
でも今の部屋の様子とは違います。
小さな赤ちゃんを抱くお母さんがいました。
キツネの男の子「あれはお母さん?でもちょっと若い気がするぞ。」
クリスマスのこびと「あの赤ちゃんは生まれたばかりの君です。だからまだ兄弟も生まれていない頃です。」


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赤ちゃんだったころの男の子を抱くお母さんはとても幸せそうです。


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キツネの男の子「あれが僕?僕たちはお母さんに見えないの?」
クリスマスのこびと「今は過去、君とは時間の流れが違うからお母さんたちには君が見えないのです。」


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キツネのお母さん「あなた、見てくださいな、この子のかわいらしい寝顔。こんな可愛い子はいませんよ。」
いつも怒ってばかりのお母さんとは違ってとても優しそうなお母さんです。


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キツネのお父さん「本当に宝のような子だ。この子はきっとみんなに愛されて幸せになるよ。」
キツネのお母さん「きっと誰にでも優しい子になるでしょうね。」


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キツネの男の子「生まれた時の僕はみんなに愛されていたんだ。でもこの後たくさんの妹弟が生まれて僕のことなんてどうでもよくなったんだ。」


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クリスマスのこびと「君は本当にそう思うのかい?今は愛されていないと?」


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キツネの男の子「だって僕は毎日怒られて、仕事ばかりさせられて、誰も僕の気持なんてわかってくれないよ!」
キツネの男の子は幸せそうに眠っている赤ちゃんのころの自分がとても妬ましくなってしまいました。


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クリスマスのこびと「君がそう思うのなら仕方ない。今日から三日間クリスマスのこびとが現れて君の過去、現在、未来を見せる。君の考え方が変わるのを願うよ。そうじゃないと君は地獄に落ちることになるからね。」
そう言ってこびとは消えていき、男の子の意識も遠のいていきました。


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キツネの女の子「お兄ちゃん、朝よ。起きて。」
キツネの男の子「あぁ、あれは夢だったのかな?こびとなんているわけないよな。」
自分の見たものが信じられないキツネの男の子でした。

つづく
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